受賞

第32回大平正芳記念賞(大平正芳記念財団主催)受賞コメント:岡本正明准教授

受賞にあたってのコメント

 このたびは、栄誉ある賞を受賞させていただき光栄です。ありがとうございます。この本では、民主化・分権化後のインドネシアがどうして安定したのかを地方政治の視点から明らかにしてみようとしたものです。インドネシアの中でも最も目立つ形で暴力集団が政治経済力を掌握したバンテン地方を事例にとりあげつつも、単に外部者としてそうした地方政治にNOを突きつけるのではなく、何とか新たな展望を示したいという思いもあって書き上げました。

 当然、そうした展望は、現地社会の人々の営為から見出すべきものなのですが、民主化・分権化が始まってから10年ほどの間は、まさに暴力とカネが顕著な政治であり、なかなかそうした展望が見えてきませんでした。その後、ようやく、バンテン地方の政治に新たなポジティブな展望が見えてきたこともあり、インドネシア政治に希望を持ってこの本を仕上げることができました。大きな政治的変化を分析しようとすれば、15年ほどのタイムスパンで考えなければいけないと痛感しましたし、また、現地社会の人々の営為にも感銘を受けました。やはり、インドネシア語で出版したいと強く思っています。

 比較的多くの方から、「学術書なのに笑ってしまった」という意見をいただきました。京大出版の鈴木さん、桃夭舎の高瀬さんのアイデアもあり、各章の扉にエピーソードを満載にしたからです。関西に生また人間としては最高の褒め言葉かもしれません。インドネシアに興味のある方は、寝転びながら各章の扉だけでも読んでいただければ幸いです。

(岡本正明)

 

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