The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Itsue Ito 伊藤 五恵

伊藤 五恵

Itsue Ito
伊藤 五恵

現代陶芸家
クレイワーク・アトリエ
代表

claywork[at]miyazaki-catv.ne.jp

他の画像を見る

動画を見る

(当サイトのWMVファイルを再生するには、Windows Media Player をダウンロードしてインストールしていただく必要があります)
下のボタンからダウンロード出来ます。(無償配布)
Get Windows Media Player 10

プロジェクトのテーマ

Keeping the Kilns Burning: Revitalizing the Thai Ceramics Industry

プロジェクト概要

陶芸の歴史及び陶芸がタイ文化に与えた影響、また陶芸の今後の方向性を調査する。

研修国

タイ

自己紹介

現代陶芸との出会い

日常雑器を作りたくて、大阪芸術大学工芸学科陶芸学部に入学・卒業。そして、アメリカの陶芸環境にあこがれ、渡米。(1979年・昭和54年))それが、「現代陶芸」との出会いでした。

「現代陶芸とは、1950年代にアメリカで起こった前衛的な陶芸で、造形手法に規定はありません。表現者が現代に訴えるものとして、作品に(メッセージ性)を込めて創作したもので、機能性ではなく、その芸術性を追求してつくりあげています。その過程は、詩人が言葉で、音楽家が音で、自己の考えている事柄やテーマを表現していくことと同じです。」

アーティストとして

窯元の子弟でもなく、大学で教鞭を取る可能性もない宮崎で、自分の制作活動を続けていくことは挑戦です。自らが常に刺激を求め研究を続けていくためには、

1)制作をし、発表し続けること。

2)国内外で制作活動をすること。

エバーソン美術館大賞やアメリカ最優秀新人賞などを頂いておりましたので、帰国後、東京のギャラリーから、企画展の申し入れがあり、順調に作品を発表していくことが出来ましたが、アメリカ時代の作風から、もっと「生活を反映」する作品を創りたいと思い始めました。  それが、1989年から一年間のオランダ国費留学で、新シリーズ「いえ」の始まりでした。多様な考え方や宗教観の違いはあっても、人は理解しあえるようにとの祈りを込めて、そのシリーズを作り始めました。 これらは、「土」特有の肌合いを強調するため、生乾きの表面に凹凸をつけ、鮮やかな色調を表現するため青や緑の施釉をし、電気窯にて焼成を何度もおこないました。そのような技法を用いることで、「心の拠り所」を表現しようとしました。

APIがもたらした影響

約3ヶ月間、タイに滞在し窯業や行政関係者らに取材を続け、タイの近代化によってもたらされた生活様式の変化が、陶芸に与える影響を調査しました。それを通じ、急速な経済発展で、独自の文化やアイデンティティーが衰退していくアジア、ひいては日本の現状にも遅まきながら気づきました。

機械化によって私たちの生活は、とても楽に便利になっています。その反面、心を表現するために、手を動かすことが少なくなってきているように思います。 そのような現状で、私ができることは、地域社会や学校教育で、手を使って表現する楽しさを皆さんと一緒に共有・体験し、日常生活の中で「芸術文化」を感じていただけたらと思います。

創造し続けるということは、孤独で寂しく辛いことかもしれませんが、同時に至福の時でもあります。(矛盾していますが。)ときどき、「暗い大海で、沈まないように泳ぎ続けている」自分が、作品を通して、他人とつながり合える時があります。その時は心が満たされ、意欲を頂きます。  縄文時代の人々が原野に想いをはせたように、私もパソコンに囲まれながら、土で「想いや願い」を作品に託しています。そして、それらが「生きていくこと」を表現し、そのことで人々とつながり、「いま」と言う時間を共有できたらと思っています。

伊藤五惠 ( いとう いつえ ) 陶芸家

1956年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学陶芸学科卒業後、米国に渡り、現代陶芸に遭遇。二つの大学院を修了。ルイジアナ州立大学・ハワイ州立大学美術学部の客員助教授として、現代陶芸を教える。

1986年帰国後、地元・宮崎市を拠点に活動開始。国内外で個展を開くのを始め、ハンガリーICS奨学金を受け、文化庁派遣在外研修員となり、アメリカ・エヴァーソン美術館大賞などを受賞。

一方、宮崎市教委の事業で、郷土で活躍する民間人が小学校で授業をする「ふるさと先生」の役も担う。一児の母として、PTA役員、県・市の行政諮問委員を務め、文化行政の面で提言している。

現在は、温もりのある個性的な美術タイル「畍」(せん=中国語で、焼いた煉瓦やタイルの意味)の制作に取り組んでいる。アジア地域には、伝統があり、デザインや色も多彩である。「畍」の造形を通して、土の可能性を追求し、「生かされる、生きていくという事」を学んでいきたいと思っている。

「生きていることや生活といった『ライフ』と物作りが密接にかかわり、そのテーマは人間の根源に向かって年々突き詰められている。自分を押し付けるのではなく、作品を通して対話しようと働き掛ける貴重な作家」と評されている。

(宮崎日日新聞 、2005年9月28日記事より抜粋。 東京国立近代美術館主任研究官・諸山正則さんのお話から)

伊藤五惠さんの新しい仕事

伊藤さんは宮崎にアトリエを構えているが、この度の個展では宮崎での作品と合わせて、有田での新しい試みが出品されている。磁器への挑戦である。大きい作品を作るため、有田の岩尾磁器の技術に支えられての仕事であった。

伊藤さんは色彩感覚に優れ、従来の作品を見てもソフトで微妙な色使いにその才能が発揮されている。また素材に対する感性が鋭く、テクスチャーの取り扱いが見事である。こうした伊藤さんの感覚が、磁器に対してどの様に現れるか楽しみであった。

白くて硬く、凛とした輝きをもつ磁器の特性を伊藤さんは独特の感覚でとらえ、いままでの作品とは趣の異なるものを今度の制作で創出した。会場に展示された宮崎での陶器の作品と有田での磁器の作品を比較すれば、それぞれの素材の差による表現の違いが楽しめよう。

膨らみをもつ円盤形の磁器の作品は、柔らかな色面と文様で彩られている。青磁釉を施し、余白に下絵付けの紫や緑の絵の具で描いた作品は、透明感のある色の重なりが深みをもたらし、磁器ならではの美しさを表している。他に青磁釉や上絵の黄緑色、赤紫色で面を塗った作品、さらに上絵付けで線や点を施した作品などがある。いずれも磁器の凛とした強さと滑らかな優しさを形と色で際立たせている。

今回の試みは、伊藤さんの感性が磁器の素材に呼応し、新しい表現を生み出したものである。このような磁器による表現は、過去の有田焼にはなかった。伝統で固定されがちな有田で、伊藤さんがどこまで新しい息吹をもたらしてくれるか、今後の取り組みが期待される。

(佐賀県立九州陶磁文化館 学芸課長 鈴田由紀夫さん)

作家活動
  • 2007年:6月16日
    「現代陶芸で住まい方を遊ぶ・甦る*畍(せん)の造形」
    よみうりFBS文化センター 福岡
  • 6月20日〜同月25日
    「西日本陶芸選抜30人展」西日本新聞社130周年記念事業
    岩田屋 福岡
  • 10月15日〜同月21日
    「伊藤五惠展」福岡アクロス 福岡
  • 2008年は銀座ミキモト、新宿高島屋にて。