The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Saya Kiba 木場 紗綾

木場紗綾

Saya Kiba                    
木場 紗綾

同志社大学政策学部 
助教

プロジェクトのテーマ

都市貧困層の政治行動の多様性とアイデンティティ

プロジェクト概要

従来、貧しい人々は、政治家や左派に利用され、日給や食事目当てにデモや選挙キャンペーンに動員され、選挙の際には候補者から金銭をもらって投票する「無知」で「分裂した」大衆だと言われてきた。これに対し、本プロジェクトでは彼らの主体性に着目する。多数の外部者に囲まれている状況においては、貧しい人々はむしろ、外部者を「選択」する主体となるのではないか。マニラとバンコクの都市貧困地区において、政治運動に参加する貧しい人々が外部者とどのようにかかわっているのかを調査する。

研修国

タイ、フィリピン

自己紹介

東南アジアの市民社会と政治の研究をしています。APIフェローシップをいただいた2009-2010年は、フィリピンとタイの都市貧困層の政治行動をテーマに、タイでは赤シャツと黄シャツの支持層についての、フィリピンではエストラダ派とアロヨ派とアキノ(現大統領)派の意識調査を行いました。
2013-2014年に日本財団よりAPI Collaborative Grantの助成をいただき、フィリピン、インドネシア、日本、米国の共同研究者と共に、東南アジアの民軍協力(civil-military cooperation)に関する調査を実施したことをきっかけに、東南アジアの国軍の非伝統的安全保障への関与、同分野での国際協力の実態、そしてそれらが各国の文民統制に及ぼす影響に関する研究を始めました。
東南アジアでは2004年のスマトラ沖地震以降、大規模災害における多国間・二国間の国際協力の枠組みづくりが急速に進んでいます。軍はそのひとつの重要なアクターです。ここ数年は特に、軍の行動規範やガイドラインなどの制度化、災害救援のための地域での多国間共同訓練の増加など、地域の民軍関係に影響を与える新しい動きが次々と起こってきました。それらに対して軍がどのような認識をしているのか。災害救援を通じて軍が文民組織と現場で接触・調整を積み重ねることは軍の組織変化につながるのか。このような問題意識をもとに、各国の国防当局、軍、国際機関、文民政府組織、NGOへの聞き取り調査を実施してきました。
2015年は、① 米軍の東南アジアの国軍への防衛協力の意図と東南アジアの国軍からの受け止められ方、② 国際緊急援助の送り出しと受け入れにかかる多国間の法的枠組みと国内調整の課題、について、東南アジアの実務家、研究者の方々との共同研究を進めていきたいと思っています。

経歴

2010年 3月 神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程修了(政治学博士)
2004年 7月 英語・タガログ語通訳
2006年 3月 在フィリピン日本国大使館政務班 専門調査員
2009年 8月 アテネオ・デ・マニラ大学アジア研究センター客員研究員
2009年10月 チュラロンコン大学アジア研究所客員研究員
2010年 4月 フィリピン大学第三世界研究センター 客員研究員
2010年 9月 衆議院議員秘書
2012年 5月 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター プログラムオフィサー
2013年 5月 タイ日本国大使館政務部 専門調査員
2015年 4月 同志社大学政策学部 助教


最近3年間の主な活動

著作・論文など
  • 共著書
    Saya Kiba and Rosalie Arcala Hall ‘Regional Cooperation on Civil-Military Coordination in Disaster Response – Crisis or Opportunity?’ in Jennifer Santiago Oretaed., Security Sector Reform: Modern Defense Force Philippine, Ateneo de Manila University (ADMU)Department of Political Science. 2014, pp.155-174

    木場紗綾「フィリピン」、『東南アジアがわかる教科書』株式会社アイ・イーシー、2013年.
  • 論文
    Yasutomi, Atsushi and Saya Kiba, "Institutionalizing interagency coordination for disaster relief: Lessons from the JSDF’s civil-military cooperation in the Philippines," Liaison Magazine Vol.VII, Center for Excellence in Disaster Management and Humanitarian Assistance, Hawaii, March 2015. Pp. 33-37.

    片山裕・木場紗綾「国際緊急支援の受入れ――2つの大震災から学ぶこと」『都市問題 第106巻第1号』公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所. 2015年1月. pp. 15-20. 

    Yasutomi, Atsushi and Saya Kiba, "Civil-Military Cooperation in Japan’s Peace Support Operations - JSDF in search of NGO partners in South Sudan," Japanese Studies Journal (Vol. 31, No.2), October 2014. pp. 112-139.

    木場紗綾・安富淳「日本の国際平和協力活動における民軍協力アプローチの課題:南スーダン国際平和協力業務とフィリピン国際緊急援助活動から」『国際協力論集』(第 22 巻第1 号)、2014年7月. pp. 77-108.

    木場紗綾「アジアの民軍の災害救援協力の潮流とその課題」『国際防災協力体制構築の検討―アジアを中心に―最終報告書』(公財)ひょうご震災記念21 世紀研究機構

    木場紗綾・安富淳「自衛隊による『オールジャパン』型国際協力の課題:NGOとの連携の事例から」『国際協力論集』(第13 巻第3号)、2013 年7月. pp. 119-148.
  • コラム・解説・書評など
    「書評:山根健至『フィリピンの国軍と政治– 民主化後の文民優位と政治介入』法律文化社, 2014」『東南アジア研究52巻2号』京都大学東南アジア研究所、2015年1月.

    「多国間共同訓練『コブラ・ゴールド』とODAとの連携について」、『平成26年度版防衛白書』防衛省、2014年8月. p. 277.

    「書評:日下渉『反市民の政治学──フィリピンの民主主義と道徳』法政大学出版局, 2013」『東南アジア研究51巻2号』京都大学東南アジア研究所、2014年1月.

    「裁判で始まり、裁判で終わった政治家人生—フェルディナンド・マルコス」『アジ研ワールドトレンド』2013年2月号(No.209)アジア経済研究所
研究プロジェクト
1. 研究代表者:文部科学省科学研究費補助金助成研究プロジェクト基盤研究C「非伝統的安全保障分野の防衛協力と東南アジアの文民統制:米国の能力構築支援を中心に」(平成26年度~28年度)

2. 研究代表者:公益財団法人りそなアジア・オセアニア財団国際交流活動助成「日本と東南アジアの防災協力:国際緊急援助の送り出しと受け入れにかかる多国間枠組みと国内調整の課題」(2015年3月~2016年3月)

3. 研究代表者:日本財団API Collaborative Grant “Comparative Analysis on Military-NGO Cooperation in Asia”(2013年6月~2014年5月)

4. 委員:公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構「国際防災協力体制構築の検討~アジアを中心に~」(2013年9月~2014年3月)

5. 研究分担者:野村財団研究助成「国際協力分野における人材育成を目的とした政府-NGO関係の実態調査」(研究代表者:片山裕、2012年11月~2013年10月)

6.研究分担者:平成24年度二十一世紀文化学術財団学術奨励金「国際協力人材の育成を目的とした政府-NGO関係の実態調査」(研究代表者:片山裕、2013年4月~2014年4月

学会活動
“Japan’s Defense Cooperation to ASEAN and Inner-Agency/Civil-Military Coordination” 4th Japanese Studies Association in Southeast Asia (JSA-ASEAN) International Conference, Thammasat University, Thailand, December 2014.

“Japan’s Defense Cooperation to ASEAN and Issues of Civil-Military Engagement” The 3rd International Conference on ASEAN Connectivity, Maharakham University, Thailand, November 2014.

"Civil-Military Cooperation in Disaster Response at Home and Abroad between Japan, Thailand, and the Philippines," Asian Political and International Studies Association(APISA) the 8th Annual Conference, Chiang Mai, Thailand, September 2014.

「国軍の非戦闘任務における民軍協力と政軍関係:タイ、フィリピン、インドネシアの比較研究」日本比較政治学会第17回研究大会、於 東京大学、2014年6月.

“Military Engagement with Civil Society in Military Operations Other Than War: Crisis or Opportunity for Security Sector Reform(SSR)?” The 3rd Philippine Studies Conference of Japan, Kyoto, February-March 2014

“Military-NGO Cooperation Policies in Japan, Thailand and the Philippines” Asia-Pacific Peace Research Association (APPRA), Bangkok, November 2013

“Military-NGO Cooperation in Asia: Lessons Learnt from Japanese Self Defense Force’s Missions Abroad,” 7th Annual Conference of Japanese Studies Network, Nareswan University, Thailand, October 2013

 “Perspectives of Election from the Disorganized Urban Poor and Fragmented Mass” The 8th International Conference on Philippine Studies (ICOPHIL), Michigan University, U.S.A., October 2012