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東南アジア学会関西例会7月「東南アジアのLGBTとジェンダー特集」

2015/07/11 @ 2:00 PM - 6:20 PM

7月11日(土)に東南アジア学会関西例会を下記の通り開催いたします。
オープンな研究会ですので、多数の方のご参加をお待ちしております。

日時: 2015年7月11日(土)14:00~18:20(13:30開場)
場所: 大阪大学豊中キャンパス 文法経済学部本館2階・大会議室
 アクセス:http://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/access
*上記ウェブページ内の豊中キャンパスMAP上にある、④の逆向き「コの字」型建物の2階(左上の端)に大会議室があります。
*当日、会場の建物入口は1箇所以外施錠されています。建物北側にある③の総合図書館側玄関からお入り下さい。

 

内容:
報告1(14時~15時20分)
上田新也(大坂大学文学研究科招聘研究員)
「十九世紀前半ベトナムにおける家族形態に関する一考察-花板張功族の嘱書の分析から-」

報告2(15時30分~16時50分)
岡本正明(京都大学東南アジア研究所准教授)
「インドネシアにおける民主主義の深化とトランスジェンダー(ワリア)の政治」

報告3(17時~18時20分)
伊賀司(京都大学東南アジア研究所/日本学術振興会特別研究員PD)
「ポスト・マハティール期マレーシアにおけるセクシュアリティ政治研究序説―蔓延する「モラルの政治」、活性化するLGBT運動」

 
報告要旨:
【氏名】上田新也
【タイトル】十九世紀前半ベトナムにおける家族形態に関する一考察-花板張功族の嘱書の分析から-
【要旨】
東南アジアの家族・親族形態の特徴として、「屋敷地共住集団」に代表されるように家族結合の自在性、及びこれに起因する双系的親族構造が挙げられる。その中にあって、ベトナムの主要民族であるキン族はやや例外的に稠密な人口を抱える紅河デルタを中心として村落共同体や父系親族集団を始めとする閉鎖的メンバーシップを持つ強固な社会集団を形成してきた。この背景には十七世紀以降の庶民レベルへの儒教の普及があり、それにより女性の社会的地位も大きく変化したと推測されるが、そもそも分析の前提となる前近代のキン族の家族・親族形態については、実証的検討はほとんどなされていない状況にある。そこで本報告では、報告者が撮影する機会を得た旧ハータイ省花板集落の張功族の十九世紀前半の2通の遺言書の検討を通じて、当時の家族形態とそれへの儒教の影響、その中で女性がどのような社会的地位を持っていたのかといった問題について若干の考察を加えたい。
 
【氏名】岡本正明
【タイトル】インドネシアにおける民主主義の深化とトランスジェンダー(ワリア)の政治
【要旨】
インドネシアが民主化してから17年が経とうとしている。インドネシア政治研究者の間では、制度として民主主義は定着したものの、オリガークの支配、汚職の分散に見られるように、実質的な民主主義には程遠いという見解が目立つ。しかし、マイノリティの政治参加という視点から見れば、インドネシアの民主主義は前進してきた。本発表では、こうしたマイノリティの中でも、宗教的にも差別の対象とされてきたLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)のグループ、とりわけインドネシアでワリア(waria)と言われるトランスジェンダーに焦点を当て、彼らが民主化時代にどのように政治参加を果たしてきたのかを見ていくことにする。2014年大統領選挙では、ワリアたちは極めて積極的に政治参加を始めており、LGBTの政治運動の先頭に立った。しかし、それはグループ内の厳しい上下関係がもたらした動員的な側面に支えられていたことを明らかにする。
 
【氏名】伊賀司
【タイトル】ポスト・マハティール期マレーシアにおけるセクシュアリティ政治研究序説―蔓延する「モラルの政治」、活性化するLGBT運動
【要旨】
マレーシアでは80年代以降に本格化したイスラーム化政策やマハティールが唱えた「アジア的価値」の影響によってLGBTの人々を逸脱者として分類し、抑圧を正当化する言説が広がるとともに、それを実行に移す政治的・法的仕組みが整備されてきた。ポスト・マハティール期に入っても上記の言説や政治的・法的仕組みの下で(連邦・各州)宗教局、ウラマー(組織)、警察、与野党の保守政治家、(マレー語)日刊紙などが主導する反LGBTの「モラル・パニック」がしばしば起こっている。しかし他方で、首相交代、市民社会の拡大、オンライン・メディアの浸透などを契機としてポスト・マハティール期のLGBT運動が活性化している状況も見られる。
報告では、LGBTの抑圧につながる言説や政治的・法的仕組みを紹介しつつ、そうした言説や仕組みを前提として、ポスト・マハティール期のLGBT運動がどのように展開されているのかを見る。その際、2008年から2011年まで続いたセクシュアリティの祭典であるセクシュアリティ・ムルデカ(Sexualiti Merdeka)と2014年11月の控訴審で画期的な判決を勝ち取ったトランスジェンダーをめぐる裁判の事例を中心に、LGBT運動が採る戦略に注目する。
 

例会終了後には懇親会も予定しております。こちらもぜひご参加ください。

また以下関西例会のホームページへのリンクです。こちらもご活用ください。
https://sites.google.com/site/kansaireikaitounanajia/li-huinoo-zhirase

 

●東南アジア学会関西例会委員
岡本正明、伊藤正子、佐久間香子、田崎郁子、小西鉄、小田なら

詳細

日付:
2015/07/11
時間:
2:00 PM - 6:20 PM
イベントカテゴリー:
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主催者

佐久間香子