過去のお知らせ
「中国内モンゴル自治区における農牧民の家畜生産および生活環境の変化」
【話題提供者】
長命 洋佑氏(日本学術振興会特別研究員:龍谷大学)
【日時】 2011年12月9日(金)午後16時00分〜
【場所】京都大学地域研究統合情報センターセミナー室(稲盛財団記念館2階213号室)
*通常と部屋が異なります
【要旨】
中国では、1978 年の改革開放以降、それまでの計画経済は終焉をむかえ新たに市場経済化の波が押寄せることとなった。伝統的な遊牧民による酪農生産においても黄牛や山羊の生乳を利用した乳製品の加工による自給型農業から、市場メカニズムを導入した商品作目へと転換した。
著しい経済発展を遂げた中国であったが、その発展は生態環境の悪化を招くこととなった。一例として、家畜の過放牧による生態環境の悪化が大きな問題となっている。生態環境の悪化は、砂嵐、黄砂、旱魃、草原退化などを引き起こし、現地の農牧民の生業や周辺地域にも多大な危害を与えている。特に内モンゴル自治区では、それらの問題が最も深刻化している地域の一つである。内モンゴル自治区では2001年度より、生態環境保全を目的とした政策の一つとして「生態移民」政策が実施されている。「生態移民」政策は、悪化した生態環境を改善・保護するとともに、環境の脆弱な地域で暮らしている農牧民に対し、新たな村や町を建設し農牧民をそこに移住させ、自立的な農業経営への転換を図る政策である。具体的には、自然条件が劣悪な地域で家畜の放牧を行っている農民を都市近郊や環境条件の良い地域へ移住させ、そこで経済性の高い家畜であるホルスタイン種乳牛を飼養させ、酪農経営を営むことにより貧困からの脱却を図る。また、この政策では、家畜の放牧を行っている農牧民を移住させることにより、それら農牧民が所有している放牧地の環境を改善させることも狙いとして含まれている。
本報告では、こうした環境保全政策が、内モンゴル自治区における農牧民にいかなる影響を及ぼしたのかについて、農牧民の家畜生産および生活環境の変化に着目し、報告をする。
*会の後には懇親会を予定しております。
第152回研究会(「第188回 日本熱帯農業学会研究集会」共催)
「熱帯アンデスの環境と農業」
【話題提供者】
山本 紀夫氏(国立民族学博物館名誉教授)
【日時】 2011年10月21日(金)午後15時00分〜
【場所】京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
*通常と部屋が異なります
案内ポスター [PDF: 290KB]
【要旨】
アンデスは、赤道を超えて8000kmの長さにわたって南北に走る、地球上で最長の大山脈である。そのため、緯度によって環境は大きく異なり、一般に北部アンデス、中央アンデス、南部アンデスの3地域にわけられる。このなかで、熱帯アンデスとは、低緯度地帯に位置する北部アンデスと中央アンデスのことである。そこは、緯度が低いため、高地であっても気候は比較的温暖であり、人々はかなり高地にまで暮らしている。とくに中央アンデスでは、富士山の頂上よりも高い標高4000mあたりでも農耕や牧畜が営まれている。また、この農耕や牧畜を営む人たちの大半が、かつてのインカ帝国を築いた人々の子孫、いわゆる「インカの末裔たち」である。では、その農耕や牧畜はどのような特色をもつのだろうか。発表では、私が1978年から通産で約2年間定住して調査をしたペルー南部クスコ県のマルカパタ村を例として報告する。
マルカパタ村は、かつてのインカ帝国の中心地であったクスコの東方約100kmに位置する。ただし、道路の状態は悪く、定期的な交通の便もないため、当該地域は地理的にかなり隔絶したところとなっており、インカ以来の伝統的な色彩が様々な点で色濃く残されている。それは、彼らの生活の中心である生業にも色濃く残されている。約50種におよぶ栽培植物の大半はアンデス伝統のものであるし、中心的な農具もインカ以来の伝統である踏み鋤が使われている。また、大半の住民がアンデス原産のリャマとアルパカを飼い、その家畜飼育とともに伝統色の濃い農業もおこなって自給自足的な生業を維持しているのである。
具体的にいうと、彼らは海抜4000m前後のプナとよばれる高原に居住地をもつが、その暮らしは高地に限られない。すなわち、アンデス東斜面に見られる大きな高度差を利用し、家族ごとに家畜を飼い、主作物であるジャガイモもトウモロコシも栽培している。これらの耕地のなかには家から遠く、毎日通うことのできないものもある。そのため、このような耕地には植え付けや収穫のときに一時的に
移り住んで作業をするための出作り小屋をもち、また放牧地にも家畜番小屋をもつ。そして、これらの小屋を利用して、彼らは一年を通して谷を上下し、農業も牧畜も行なう、いわゆる農牧複合の暮らしを送っている。このような暮らしこそが、中央アンデスにおけるインカ時代以来の伝統的なものである。
【プログラム】
15:00−15:15 開会・趣旨説明
15:15−16:45 講演
16:45−17:00 休憩
17:00−18:00 質疑応答
*会の後には懇親会を予定しております。
「東南アジア産物交易における 仲介商人ネットワークの役割―19世紀前半のシンガポールを中心に―」
【話題提供者】
小林 篤史氏(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
【日時】 2011年6月17日(金)午後16時00分〜
【場所】京都大学地域研究統合情報センターセミナー室 (稲盛財団記念館2階213号室)
*通常と部屋が異なります
案内ポスター [PDF: 176KB]
【要旨】
本報告は、19世紀前半の東南アジア域内交易の成長を統計的に示し、さらにその域内交易を担ったシンガポールのアジア人商人活動の実態を明らかにすることを目的とする。
近年、近代東南アジアの貿易拡大を19世紀後半の植民地期に見出す従来の認識を修正する、19世紀前半の東南アジアの貿易活性化を指摘する研究がみられる。アンソニー・リードは19世紀前半の東南アジアにおける胡椒、コーヒー、砂糖の輸出成長率が、19世紀後半よりも高かったことを長期のデータから示し、前半期の活発な貿易活動を明示した(Reid,
1997, The Last Stand of Asian
Autonomies)。すなわち、19世紀前半のアジア人商人主体の貿易活性化に、近代東南アジアの輸出経済拡大の契機があったことが示唆される。こういった研究の流れを深化させていくために、本報告では19世紀前半の東南アジア域内交易の動向と、その担い手であるアジア人商人活動の実態を、イギリス植民地港シンガポールに焦点を当てながら考察する。
まず統計資料を用いて域内交易の動向を把握する。19世紀前半の東南アジアにおけるイギリス海峡植民地(シンガポール・ペナン・マラッカ)とオランダ領ジャワの貿易統計を吟味し、これら4植民地の近隣東南アジア地域との交易、すなわち域内交易を抽出すると、少なくとも1820年代以降、英蘭植民地を中心とした域内交易は成長していた。そしてその成長にシンガポールは大きな比重を占めていた。
シンガポールの域内交易は、西欧商人の仲介業を担う商人を中心に、現地の言語、文化、商業慣行に精通した華人、ブギス人、マレー人といった多様な商人の活動が繋がることで成立していた。仲介商人を結節点とした彼らの活動によって西欧からの綿工業品、中国へ運ばれる森林産物や海産物、そして現地大衆食糧の米が流通していた。シンガポールの域内交易は、域外の貿易体制に対してオープンでありながら、そこはアジア人商人たちが商業知識、取引関係、そして資本を蓄積するフィールドだったのである。
最後に、近代東南アジア経済史における、19世紀前半の域内交易成長の意義に若干の検討を加えたい。前近代からの東南アジアの経済展開の主役は、多様な生態環境の差異を利用して利潤を上げる、脱生態的な存在である商人たちであった(原,
1999,『エリア・エコノミックス』)。東南アジアの商業活動が西欧主導の世界経済と密接に結び付き、近現代の局面に移行していくに際して、域内で醸成された地域市場秩序(支配体制、法体系、経済慣習、社会規範)がどのような役割を果たしたのかを、域内交易という視点から考察する。
*会の後には懇親会を予定しております。
「ブラジルアマゾンの土地なし農民の生活への生産とcommon goodsの影響」
【話題提供者】
石丸 香苗氏 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
【日時】 2011年4月15日(金)午後16時00分〜
- 案内ポスター [PDF:785 KB]
【要旨】
ブラジルにおける土地なし農民運動は、1988年憲法186条の一文である「すべての土地は生産活動に利用されなければならない」を逆手にとり、土地を持たない農民達(センテーハ=landlesspeasant)が放棄耕作地・牧地に侵入・占拠し、生産活動を行うことによって土地の所有権取得を求める活動である。背景には、5%の土地所有者が耕作可能地の70%以上を所有する土地分配の不均衡や(Renner1997)、世界三位といわれる経済格差
(UNDP2010)、総人口の1/3が貧困層向けの援助(bolsafamilia)を受けている現状が存在する。
運動はブラジル全土に広がり、特に地方では耕作可能な土地を得やすいことからアグロフォレストリや有機農法の試みを取り入れた積極的な生産活動を行うコミュニティが多く認められる(Kondo2005)。こういった地方の土地なし農民コミュニティはインバゾン(侵入者)と呼ばれ、ブラジル国内では森林破壊の元凶や不法占拠の脅威、また度々暴力と犯罪の源というバイアスを受けると同時に、世界的には国家の最貧困層が自ら生産環境を手に入れ生存のための礎を築く社会運動として一定の評価を受けている。
豊富な森林資源を持つブラジル北部のアマゾン地帯では、慣習的に食料としての果樹、建材としての木材、上質な水源や多くの薬用植物は、誰もが利用可能なcommongoodsである。法廷賃金の半分以下で生活をする極度の貧困層が全人口の3割を占めるブラジルの中でも、ブラジル北部地域は特に貧しい地域であるが、アマゾン地帯の貧困層が現金収入に頼らず生活を維持する仕組みにはこれらcommongoodsの寄与が大きいと考えられる。
ブラジル北部アマゾンの森林に侵入した土地なし農民の生活には、これら「占拠した土地での生産」と「近隣の自然からのcommongoods」の両方が大いに関係していると考えられる。昨年の調査では、生産とコモンによる土地なし農民の生活の改善状況を調べることを目的に、アマゾン河口部ベレン近郊のサンタバーバラ郡にある、居住年数の異なる二つの生産活動の活発な土地なし農民コロニーを対象として家計調査、生産物調査を行った。今回はブラジルアマゾンの二次林に進入した土地なし農民の生活の紹介と簡単な調査結果報告を行う。
「変容過程にある焼畑営農体系における民族ごとの戦略 〜ラオス北部の民族混住村を事例として〜」
【話題提供者】
亀田 知佳氏 (京都大学大学院農学研究科)
【日時】 2011年2月18日(金)午後16時00分〜
- 案内ポスター [PDF:785 KB]
【要旨】
東南アジアでは伝統的に、広く焼畑農耕がおこなわれてきた。しかし現在、政治・社会・経済的な状況の変化をうけ、焼畑農耕システムが他の土地利用法へと変容しつつある。その要因や背景は地域や民族により様々であり、その詳細はまだ部分的にしか理解されていないのが現状である(Mertzet
al, 2009)。
ラオスは東南アジア大陸部に位置する内陸国で、国土の約7割が山林にしめられている。特に北部は山岳地帯で、焼畑農耕が主な生計手段のひとつとなっている。ラオス政府は森林保護と山地民の生活向上を目的とした、一連の焼畑抑制策を1990年代後半より実施してきた。ひとつは山地民の移住政策であり、もうひとつは林野土地配分事業と呼ばれる、土地を区分し、農民に一定区画の農用地を配分し、他の林地での焼畑を禁止する政策である。これらの政策の影響を受け、現在ラオスでおこなわれている焼畑農耕は変容の途上にある。
今回の発表では、ラオス北部ルアンパバーン県における、移住政策後に低地へ移住してきたカム族・モン族が集住する村を事例とし、焼畑営農システムの現状を報告したい。特に、民族間に見られる状況・戦略の違いに着目する。
ネパール丘陵地域の家畜飼養管理についてー特に樹木の利用に注目して
【話題提供者】
熊谷元氏 (京都大学大学院農学研究科)
【日時】 2010年12月17日(金)午後16時00分〜
【場所】稲盛財団記念館 3階 中会議室
- 案内ポスター [PDF:177 KB]
【要旨】
ネパール丘陵地域(標高300m〜2500m)はネパールの国土面積の42%、総人口の46%を占めるが、起伏が激しく、灌漑が困難な場所が多い。耕地拡大により耕種・換金作物栽培に特化した地域もあるが、一方で作物生産の他に、圃場残渣、野草、樹木の葉等を利用する家畜飼育を組み合わせた有畜複合農業も多く見られる。飼料木の利用を積極的に行う中標高域(標高1000〜1500m)の2農村をターゲットとして、雨季、涼乾季、暑乾季において土地利用、作物生産、家畜生産、飼料利用の状況を調査した結果を報告する。特に、家畜飼養に用いられる樹木の葉、野草、作物残渣の給与状況の季節変動と、樹種の多様性に着目する。併せて、タライおよび山岳地域の土地利用、農業・畜産そして人々の暮らしについても概況を報告する。
インドネシア・リアウ諸島州におけるマングローブ林生態系の地域利用と保全
―移動性小規模製炭業従事者に注目して―
原田 ゆかり 氏 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
【日時】 2010年10月15日(金)午後16時00分〜
- 案内ポスター [PDF:985KB]
【要旨】
東南アジアでは1980年代にエビの集約養殖池が広がり, 2000年にはインドネシアにおけるマングローブ林生態系の減少率は,1980年に比べて31%となった(村井
2007)。その主要因としては, 物流の仕組みの近代化や海外資本の流入による産業用地としての開発や,農用地・塩田・養殖池への土地利用転換が挙げられる。現在,
マングローブ林生態系の減少・劣化によって, マングローブ林生態系の持つ,熱帯・亜熱帯地域の沿岸部の保護, 水産資源の涵養などの機能が衰退し,
津波被害や漁獲高の低下など,地域住民の生活を脅かしている。上記のような国外経済の影響を大きく受けている, インドネシア・リアウ諸島州バタム島において,地域住民のマングローブ林生態系利用,
国外経済の影響, マングローブ林の状態の関係性を明らかにし,沿岸域に暮らす人々の生存基盤の回復を伴う利用とマングローブ林生態系保全の両立について考察した。
各官庁の公文書, 統計資料からリアウ諸島州およびバタム島の特徴を調べると共に, 漁業, 物流業, 観光業, 製炭業など,住民の主な業種が異なる4つの村集落において, マングローブ林生態系の利用に関する聞き取り調査を行い,またマングローブ林生態系利用の異なる場所, 都市部に近接した森林, ツーリズムに利用されている森林,薪炭材伐採が行われている森林において森林構造調査を行った。結果,以下の3つの現状が明らかになった。@地域や業種によってマングローブ林生態系利用方法における,直接利用(薪炭材利用)と間接利用(水産資源涵養・景観利用)の割合は異なった。Aバタム島は物流ハブ港として工業発展を遂げたため,エビ養殖などの土地利用の転換が行われなかったことも,マングローブ林の二次再生を促す大きな一因であると考えられた。Bマングローブ木炭は主に輸出用であった。製炭用の伐採は択伐・小面積皆伐であり,森林再生の可能なサイクルで伐採が行われていた。
以上の調査から, 現代の地域社会における現状の一例と共に, マングローブ林生態系の利用と保全の両立の一例を観察出来た。囲い込みによる完全な人間利用の排除だけが,
マングローブ林生態系の保全方法ではない。地域住民のマングローブ林生態系利用と,その保全・再生をどのようにして両立させていくかを考えることが,
最も現実的で実現可能なマングローブ林生態系の保全へと繋がると考えた。
現在筆者が最も注目しているのは、調査地の1つである移動性製炭集落である。上述したように、バタム島は急激に発展の進む島であり、諸外国による工業団地が存在し、生活水準も高い。彼らが作るマングローブ木炭は、大部分が国外向けの換金商品であり、収入は多い。しかしその生活は電気も水道もなく、薪炭以外の物を全て集落外から得ている。インドネシアにおいて、マングローブ林の伐採は違法である。しかし彼らは「これは我々の伝統的な生業である」と主張し、違法性を認識しつつも伐採を依然として続けている。失業者が増加するため、政府も完全に伐採を禁じることが出来ない。バタム島内には、先進国的なものと途上国的なものが混在しているようにも感じられ、興味は尽きない。
〜〜来聴歓迎〜〜
換金作物栽培とアフリカ狩猟採集社会の可塑性、および狩猟採集民=農耕民関係の変容:カメルーン東部州におけるバカ・ピグミーとバクウェレの事例から
【話題提供者】
大石 高典 氏(京都大学こころの未来研究センター、特定研究員)
【日時】 2010年6月11日(金)午後16時00分〜午後18時45分
【場所】稲盛財団記念館 2階214号室(地域研究統合情報センターセミナー室)
※会場がいつもと異なります!
- 案内ポスター [PDF:2,355 KB]
換金作物栽培は、財を生み出す営為であるという点において、自給作物栽培とは決定的に異なる性格をもつ。これまで、アフリカ狩猟採集民社会は徹底した平等主義社会であると記述・分析されてきた。そこでは、コミュニティ成員の間で分配しにくい所有物や富の発生は徹底的に嫌悪され、回避されるとされてきた。しかし、そのような社会が農耕化し、農作物の自給を経て、換金作物栽培が開始された場合に何が起こるだろうか。
誰の目にも明らかな財の発生やそれを生み出す土地の資源化が進めば、これまでの所有や分配の規範は変容してしまうのか、あるいは新しい状況に対応した仕組みや行動によって維持されるのか。
カメルーン東南部では、フランスによる植民地時代に野生ゴム採集を経て、換金作物としてカカオが導入された。その後、ピグミー系狩猟採集民バカ人を含む様々な民族集団によってカカオ栽培は受容され、次第にまとまった現金収入を得るほぼ唯一の手段となっていった。カカオ買取価格の高騰が起こると、集落周辺の土地利用に急激な改変が起こった。例えば、ブンバ・ンゴコ県モルンドゥ市の近くの調査村は、1960年以降に形成されたバクエレ人とバカ人約550人の集落だが、今日では集落周辺約5キロ四方に130を超える数の合計面積230ha以上に及ぶカカオ園を確認できる。これらのほとんどは、バカ人、バクエレ人といった先住諸民族によって開かれたものだが、近年その所有権や利用権をめぐる対立や紛争が絶えない。その理由の一つは、1980年代の熱帯林木材伐採事業に伴って移住・定着した商業農民による土地やカカオ園の買収である。発表者は、カカオ園の土地利用歴、賃貸・売買契約、放棄事例の悉皆調査を聞き取りとGPSを併用した現地踏査により行い、プランテーション群の形成過程と所有・利用権の動態、世代間相続の状況などを調べた。その結果、多くの先住民にとって、カカオ栽培に投資した労働に見合うだけの現金収入を得ることはおろか、プランテーションの世代間継承も困難な状況にあることが分かった。なぜ、自分たちで開いたプランテーションを維持できなくなってしまうのか。外部資本の介入やアルコール飲料への依存といった他の狩猟採集民においても報告されている要因のほか、カカオ園が生み出す富をめぐる個人主義的振る舞いの発生と放任といった問題が看取された。事例に基づき、狩猟採集民社会における財をめぐる個人主義と平等主義の相克について考察するとともに、変わりつつある狩猟採集民―農耕民関係について報告する。
〜〜来聴歓迎〜〜
東南アジアの自然と農業研究会共催:田中耕司先生退職記念シンポジウム
『アジアの稲作研究からアジア地域研究へ』
田中 耕司 氏(京都大学地域研究統合情報センター)
【日時】 2010年4月17日(土)午後14時00分〜
田中耕司さんが、平成22年3月末をもって京都大学を定年退職されました。
田中さんの研究を概観すると、学生時代から続けられている日本の農業技術史に関する研究、東南アジア研究センター(当時)に移られてからの東南アジア諸地域における農業体系に関する研究、これらを、稲作を中心として系譜論的に分析し類型化したアジア稲作文化論に関する研究という一つの道筋が見えてきます。
一方、スラウェシ地域研究に代表されるフロンティア社会論や、インドネシアや東南アジア大陸山地部における生態資源の利用と管理に関する問題への取り組みがもう一つの柱です。これらの研究はいずれも、幅広い総合科学としての農学、農業・農村研究として高く評価されるとともに、「農」を基盤とする地域社会論としても大きな可能性を示しています。
この機会に、これまでに田中さんとともにフィールドを歩いた方々、田中さんの薫陶を受けた方々、さらに、これから田中さんとともにフィールドへ行こうと考えておられる方々にお集まりいただき、40年に及ぶ田中さんの研究の大きな流れを踏まえ、田中さんのアジア地域研究の展望を描くシンポジウムを開催します。ぜひご参集ください。
プログラム:
13:30〜 受付
14:00〜14:10 趣旨説明
14:10〜14:50 遅沢克也(愛媛大学)
「東南アジア・フロンティア社会論(仮題)」
14:50〜15:30 Terry Rambo(コンケン大学)
“The Interface between Social Science and Agricultural Science”
15:30〜15:50 休憩
15:50〜16:30 徳永光俊(大阪経済大学)
「比較農法史研究に『個体・群落』の農法の視点は有効か」
16:30〜17:30 田中耕司さんのレスポンスとディスカッション
18:00〜20:00 懇親会
〜〜来聴歓迎〜〜
東南アジアでの持続的な林業は可能か?:現状分析と展望
神崎 護 氏(京都大学農学研究科森林科学)
【日時】 2010年2月19日(金)午後16時00分〜
【要旨】
バイオエネルギー活用や,循環可能でカーボンニュートラルな資源の重要性が高まる中,木材資源の利用もさらに拡大することが予想される.同時に,カーボンシンクとしての森林の重要性と,生物多様性の保全対象としての森林の重要性も高まっている.東南アジアの熱帯林は,低コストでの木質資源の供給源となりえると同時に,巨大なバイオマスを持ち,高い生物多様性を内包するという点で,両者のバランスが強く求められる地域である.過剰伐採,農地化,統治能力の欠如などによる森林消失がいまだに進む地域で,森林の管理主体である林業会社や林業局,あるいはローカルな森林ユーザーがもつ技術面での問題については,十分に検討されてこなかったように思われる.研究会では東南アジア各国での実施したわれわれの研究グループの研究事例を交えながら,下記の4点について報告し,関連分野の方々との活発な議論の材料を提供したい.
1) 択伐天然林が持つ矛盾:現在択伐の対象となる樹種の多くは,成長が早く材の比重が軽く加工しやすい特性を持つが,更新のための光要求性が高い.このため,択伐による林冠疎開では,更新が円滑に進まないという矛盾を内包している.持続性確保のためには,樹種の生活史全体を視野に入れた択伐手法の開発が必須である.別のオプションとして,伐採対象樹種を択伐施業の下で円滑に更新可能な樹種へと変換することも考えるべきである.
2) 植林林業が持つ問題:ユーカリやアカシアを利用する産業造林は,伐期が3から8年と極めて短く,養分収奪や土壌エロージョンの面では農業的なシステムとあまり代わりがなく,林地が持つ環境サービス機能の面ではほとんど期待できない生態系ではないだろうか.このような超短伐期のシステムにおける持続性の確保には農地生態系的な取り扱いが極めて重要ではないかと思われる.
3) ローカルな需要への対応:実態が十分把握できていないのが,薪炭のための利用である.このような薪炭利用の多くは,国有林内での違法行為に近い形で行われることが多く,利用の技術や効率的利用への技術開発は残念ながら不十分である.日本が有するクヌギなどを主体とした低林施業と呼ばれる薪炭林管理技術は,熱帯各国でも十分に応用可能なのではないだろうか?
4) 保護vs.利用の二分論を超えて:統治面においては土地利用区分を明確化することは,森林の有効な利用と保護にとってクリアーすべき点であろう.しかし,東南アジア熱帯においては,農地拡大の圧力がいまだ強く,林地に依存する住民の比率が高いため,机上の保護区設定はほとんど有効性を持たない地域が多い.利用と保護のカップリングのような仕組みの検討が重要だろう.REDDと呼ばれる森林消失速度低減による炭素発生量抑制の国際的な仕組みにおいても,統治の極めて難しい奥地林をどのように有効に保全していくのか,制度的な検討がきわめて重要と思われる.
〜〜来聴歓迎〜〜
(共通テーマ)
日本の山村・海村における文化的景観の特色とその保全の課題を考える
−瀬戸内海の離島と長野県中山間地を事例として−
【話題1】
「瀬戸内海の島々における土地均分制度の有無と持続的な植生・土地利用景観の関連」
上原 三知(信州大学 農学部、助教))
【話題2】
「長野県姨捨棚田の重要文化的景観とその保全」
内川 義行(信州大学 農学部、助教)
【日時】 2009年12月4日(金)午後16時00分〜午後18時45分
- 案内ポスター [PDF:1,540KB]
【要旨1】
2005年の日本造園学会80周年記念国際シンポジウムでは、世界普遍的な持続可能性を追求する一方で個性的な自然や文化を尊重する「持続可能なランドスケープ(sustainable
landscape)」という概念が提案され、その実現に向けて、地域固有の自然環境や歴史文化に着目することで世界的な問題に挑戦しつつ、個性的な解を求めるべきとの指摘がなされた。
共有資源の利用に関してはコモンズへの関心が高まっているが、千葉徳爾は入会地(共有地)の分割は内陸では近世末から明治初年になってようやく行われはじめたものが多いものの、特に交通の便で商品生産が早くおこった瀬戸内地方の島峡や沿岸村落ではわが国で最も古くから割山や個人所有林を制度化していたと指摘する。 また宮本常一も、瀬戸内海の離島に見られる土地均分制度と海洋民の定着との関連性を指摘している。
このように日本の中で特に、雨が少なく森林の再生が難しい気候条件におかれながら、高い人口圧と製塩産業による森林等の自然資源の積極的な利用とその保全が早くから顕在化した瀬戸内海域では、どのような環境の保全・活用モデルによって、江戸期に訪れたリヒトフォーヘンやケンペル、シーボルトらに美しいと評価された景観の多様性と地域資源の持続性を担保してきたのかについて考察を行う。
【要旨2】
長野県千曲市の姨捨棚田は、その一部(当初約3ha)が平成11年,国内の棚田としては初の文化財・名勝に指定された。さらに2009年11月現在、周辺棚田(約75ha)を含む、地域一帯を新たな文化財・重要文化的景観として保全すべく選定の申出中である。
我が国における棚田の文化的景観価値は高く評価されるものの、その保全には(1)耕作の継続(@耕作者の確保、A耕作と維持管理の方法、B経営)、(2)住民の合意形成(@保全対象、A保全方法)等の課題を有している。特に棚田の存在は、毎年の耕作継続という営農行為が前提のため、一般的な文化財保護にみる凍結・静態的「保存」ではなく、規定された許容範囲における若干の改変をも認める動態的「保全」の考え方が不可欠となる。
姨捨棚田では、住民の耕作継続と合意形成に配慮し、狭小で不整形な区画の地域だけでなく、近現代の生活・生業の歴史を示す圃場整備地域をも含み保全対象とし、それらの産業遺産的価値を文化的景観の中に積極的に位置づけ保全計画を作成した。本事例をとおし、現代における動態的存在としての文化的景観の保全のあり方について考察したい。
〜〜来聴歓迎〜〜
第142回研究会
(共通テーマ)
タンザニアの農村における慣習の変化と農業へのインパクト
―土地利用と労働力確保に注目して―
【話題1】
「タンザニアの山地農村における土地利用とクランを中心とする土地保有との関係について」
山根裕子(名古屋大学農学国際教育教育協力研究センター)
【話題2】
「タンザニア農村における労働慣行の変容と農家の生計戦略」
一條洋子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
【日時】 2009年10月30日(金)午後3時30分〜午後6時
- 案内ポスター [PDF:1,540KB]
【要旨1】
タンザニアの南北のほぼ中央、海岸部の大都市ダルエスサラームから約200km内陸にウルグル山塊と呼ばれる山がある。南北約55km、東西約30kmにわたって展開する山の全域にはルグルと呼ばれるエスニックグループの人々が約300年ほど前から斜面の農業を営みながら暮らしてきた。この山の東側標高600〜1300mに展開するキボグワ村にはシナモンやチョウジ、パンの木などの樹木作物から成る叢林的景観が発達した屋敷地がいくつも見られる。一方で、屋敷地の外側に広がる斜面の畑には単年生の主食用作物の栽培がおこなわれており、屋敷地と斜面の畑とでは植えられる作物が大きく異なっていた。本発表では、このような土地の利用の違いがこの村で暮らすルグルの人々のどのような社会文化的背景から生み出されているのかを、母方のクランを軸とする土地の保有の実態との関連を中心に説明したいと考えている。そして、市場経済の浸透が進み変容し続けている現在のタンザニアの農村においてのクランの実態とその意味をこの村の事例を元に考察してみたいと考えている。
【要旨2】
タンザニアのほぼ中央に位置するドドマ州のドドマ・ルーラル県は半乾燥地域であり、農業生産性は低く、経済水準の低い地域である。この地域の農業では、降雨に合わせた適期の耕起作業や、迅速な除草作業および収穫作業が求められ、往々にして家族労働力ではまかないきれない労働力を外部から確保する必要が生じる。こうした一時的な労働力需要の高まりに対し、かつては「労働交換」が広く採用されていた。労働交換は、現金を持たない小農が相互に家族労働を提供しあう慣行である。他の途上国農村と同様に、事例地においても労働交換は人々が農業を営み生計を維持するために重要な役割を担ってきた。ところが近年では、とくに現金需要の高まりから働き手の“労働交換離れ”が進み、外部労働力確保の手段は賃金雇用に置き換えられる傾向にある。しかしどの農家も一様に賃金雇用によって外部労働力を確保できるわけではない。本報告では、労働交換が衰退していく事例地において、個別農家が生計戦略として労働力調達方法をどのように選択しているのか、またその労働力をどのように利用しているのかについて、文化的背景を考慮しつつ明らかにする。
〜〜来聴歓迎〜〜
東・東南アジア農業研究と地域研究
−研究会を継承・発展させるために−
田中 耕司 氏 (京都大学地域研究統合情報センター)
【日時】2009月7月3日(金)午後4時〜午後6時
- 案内ポスター [PDF:353KB]
【要旨】
東南アジアの自然と農業研究会の第1回研究会(1981年4月)が開かれて以来、はやくも30年近くになろうとしている。開催数にして140回、各年ほぼ5回開催のペースが守られてきたことになる。その第1回研究会以来、その開催に多少なりとも関わってきた者として、この数十年の研究会の歩み、そして発表者自身の研究関心の推移を振り返りながら、農業(農学)研究と地域研究との関連に焦点をあてつつ、回顧と展望を語ることとする。話題提供者が東南アジアでのフィールドワークをはじめた1970年代から80年代にかけては、農業研究の成果がそのまま地域研究の成果として発表できる状況にあった(もちろん地域研究への模索は続けられていたが)。一方、30年が経過して、東南アジアの農業や農村は大きく変貌した。グローバル経済の影響も計り知れない。調査手法も大きく変わってきた。発表者の現在の関心に引きつけながら、地域を対象とする農業・農村研究の将来の方向性について展望したうえで、参加者と議論を交わすことを期待している。
〜〜来聴歓迎〜〜
焼畑耕作が創出する空間的多様性
−タイ北部の「焼畑休閑林」および「焼畑停止林」に存在する植物資源−
福島 万紀 氏 (島根県中山間地域研究センター/京都大学地域研究統合情報センター)
【日時】2009月6月19日(金)午後4時〜午後6時
- 案内ポスター [PDF:353KB]
【要旨】
タイ北部の山岳地域において焼畑耕作を行う集落の周辺では、林齢の異なる様々な休閑林が恒常的に存在し、火入れによる攪乱に強い萌芽更新性の種、明るい場所に侵入するパイオニア種、遷移に伴って出現する耐陰性の種が、空間的多様性を創出しています。このような「焼畑休閑林」は、薪、食料、薬、道具、建築材など、山地民が日常的に利用する植物資源の供給源になっています。しかしながら、1960年代以降、焼畑耕作の規制が強化され、代替作物の導入が進んだ地域の一部では、放棄された「焼畑停止林」が拡大しました。このような「焼畑停止林」では、森林の遷移の進行に伴い、利用可能な植物資源が変化し、山地民がこれまで利用してきた植物資源が減少・消失する可能性があります。本発表では、タイ北部の山岳地域において焼畑耕作を継続する集落周辺の「焼畑休閑林」、焼畑停止後20年以上停止した集落周辺の二次林に存在する「焼畑停止林」それぞれに存在する植物資源の共通性および相違性について、これまで明らかにしてきた事例を紹介し、焼畑耕作が生み出す二次植生の多面的価値について考えます。
〜〜来聴歓迎〜〜
アーボリカルチュア(arboriculture)が結ぶ野生動物と人
インドネシア東部島嶼部住民による「半自然」的な森の創出
笹岡 正俊 氏 (財団法人自然環境研究センター・研究員)
【日時】2009月4月17日(金)午後4時〜午後6時
- 案内ポスター [PDF:210KB]
【要旨】
ウォーレシアからオセアニアに至る地域は,古くから今日に至るまで,「arborealな資源」----木本植物、および,森林の下層,ギャップ,辺縁における生物資源----の利用が,地域の人びとの必要の大部分を満たしてきたと言われています.Latinis[2000]は,そのような経済のあり方を"arboreal-based
economy"と呼びました。筆者がこれまで調査を続けてきたインドネシア東部マルク諸島のセラム島においても,「arborealな資源」が人びとの生活を支える上で重要な役割をはたしており,実に多様なアーボリカルチュア(有用木本性植物の植栽・保育・利用)が見られます.
本発表では、(1) そうしたアーボリカルチュアを通じて,集落を取り囲む熱帯林のなかに,いかに多様な「森」が創出・維持されているかについて述べます.そして,(2) そうした「森」を,野生動物がどのよう に利用し,また,そこに飛び込んでくる野生動物を人がどのように利用しているかを明らかにすることを通じて,アーボリカルチュアを媒介に,人と野生動物のあいだに「緩やかな共生関係」とでも呼ぶべき相互関係が生み出されている可能性について論じたいと思います.
尚,インドネシアを含め,東南アジアの自然地域では “「自然」を残すための地域 “と”開発に供するための地域”へと景観が二極分化しつつあります(例えば,国立公園とオイルパームプランテーションなど).こうしたなか,アーボリカルチュアによって創出・維持されている「半自然」的な森をまもることは,地域の暮らしや生物多様性の保全にとってどのような意味を持つのか.本発表では,その点についても言及したいと思います.
〜〜来聴歓迎〜〜
なにがアグロフォレストリーへの移行を支えたか
−タンザニア南部・焼畑農耕民の社会生態史−
近藤 史 氏 (神戸大学大学院農学研究科地域連携センター)
【日時】2009月2月13日(金)午後4時〜午後6時
【要旨】
本研究の対象であるタンザニア南部高地に住む農耕民ベナは、古くは二次林で焼畑をおこない、植生が劣化してからは草地休閑型の焼畑をおこなってシコクビエを栽培してきたが、タンザニア独立後は政府が推奨する化学肥料を用いたトウモロコシの常畑耕作を受け入れた。しかし近年、連作による土地の疲弊や、人口圧の高まりによる農地の狭小化と薪不足、肥料価格の高騰が深刻化したため、タンニン抽出用に導入された早生樹モリシマアカシア(Acacia
mearnsii)を植えて、その林で焼畑をおこなうようになった。
新しい焼畑では、休閑期間中に地力維持を樹木の再生力に委ねる一方で、薪の採取を通して日常的に樹形や樹木密度を管理して経済価値の高い林を育成する。そして、薪炭を生産した伐採跡地で焼畑をおこなう。これは、農林業の複合を通して継続的な土地利用を可能にする、アグロフォレストリーへの移行であった。
本発表では、タンザニアの政策変化や市場の動向に照らしながらべナの社会生態史を分析し、このような農業改革を支えた要因について考える。
〜〜来聴歓迎〜〜
マダガスカルのSRI稲作‐実態と発展可能性
辻本 泰弘 氏(京都大学大学院農学研究科)
【日時】2008月10月17日(金)午後4時〜午後6時
※研究所正門周辺工事中のため近衛通に面した北門からお入りください.
【場所】京都大学東南アジア研究所 東南アジア研究所 共同棟4階セミナー室
会場が変更されましたのでご注意ください!
案内ポスター [PDF:104KB]
【要旨】
アフリカ大陸に程近い、インド洋西端に浮かぶマダガスカルでは、古くからアジアイネが栽培されている。近年、このアジア稲作圏の西端において、System of Rice Intensification (SRI) と呼ばれる水稲多収農法が見出された。この農法を適用することで、大幅な増収のほか、化学肥料や灌漑水の節約が可能であるとされる。そのため、資源投入力に乏しい地域での生産性改善策として非常に期待が高まっている。一方で、報告されている15t/haを超えるような多収記録やその増収効果について疑問を投げかける声も大きく、現在まで国内外で議論が続いてきた。
このSRI稲作技術はかつての「米作日本一」の農家など、日本の篤農稲作技術と多くの点で類似性が認められる。このような精緻な稲作を行うマダガスカルの農民はどのような人たちであろうか。この技術の中に、現在停滞しているアジア・アフリカ途上国の稲作改善の糸口が見つかるのではないか。本発表では、マダガスカルの在来稲作を簡単に紹介しながら、21世紀の食糧生産においてSRIが果たしうる役割について考えてみたい。
第136回研究会
共催 G-COE「生存基盤持続型の発展を目指す研究拠点」
イニシアティブ2「人と自然の共生研究」
タイ北西部における山村農業の変遷― 伝統的農耕に及ぼす市場志向要因の影響
フォンリュブケ 留奈子 氏(オーストラリア国立大学太平洋アジア研究科)
【日時】2008月6月27日(金)午後4時〜午後6時
※研究所正門周辺工事中のため近衛通に面した北門からお入りください.
【場所】京都大学東南アジア研究所 東南アジア研究所 東棟2階第1教室
- 案内ポスター [PDF:115KB]
【要旨】
タイ国北西部山岳地域に散在する村落が、過去数十年に亘り辿った農業形態の変化過程は、背反的な次の二つの経済活動ベクターのせめぎ合いとして理解すると、同過程の特質と課題をより的確に把握し得る。その一つは「自給自足的な陸稲及び水稲耕作の維持」であり、もうひとつは「換金性作物耕作及び非農家的家業の導入」である。換言すれば前者は伝統農耕型ベクター、後者は市場志向型ベクターであり、前記の農業変遷ダイナミズムは両ベクター間の「最適な兼ね合い(optimum trade-off point)」を模索する山地民の試行錯誤の表れといえる。
これまでカレン山村地域の開発問題は、焼畑循環農耕(タイ語でrai mun wian)の正当性を掲げた政治的活動を巡る「文化強調主義」と、それに付随する負の影響を指摘するアンチテーゼ(所謂“Karen Consensus”)の「経済強調主義」の二分対立で議論されてきた。しかし山地農業変遷の現状と課題を理解するためには、両議論を補完的に考慮する必要がある。この観点から本考察は、タイ国メーホンソン県内に立地するカレン居住山村五ヶ村(スゴー:3村、ポー:1村、カヤー:1村)を対象に、カレンの人々の主要四生業(@焼畑耕作による陸稲栽培、A水田耕作による水稲栽培、B換金性作物栽培、C賃金労働従事)に照準を当て、異なる環境における経済活動の諸相を示す。その上で、山地生業の実践と従来議論の捨象に鑑み、カレンの人々にとって実現可能かつ有益な方策を探る。
〜〜来聴歓迎〜〜
第135回研究会
自然環境の「資源性」を評価する−植物社会学からのアプローチ
矢ケ崎 朋樹 氏(財団法人地球環境戦略研究機関 国際生態学センター)
【日時】2008月4月18日(金)午後4時〜午後6時
※研究所正門周辺工事中のため近衛通に面した北門からお入りください.
【場所】京都大学東南アジア研究所 東南アジア研究所 東棟2階第1教室
- 案内ポスター [PDF:110KB]
【要旨】
「保存食にするゼンマイ」、「炭(燃料)に利用されるコナラ」、「屋根葺きに使うススキ」、「神事の場であるタブノキ林」のように、地域に自生する植物は多様な目的の下で資源として有効利用され、その土地に暮らす人々の生活文化の基盤を支えてきた。しかし、今日の日本では、輸入木材や化石燃料への依存度の高まりを背景に人々の世代交代も相俟って、身近にある植物資源の保護と利用に関する知識・技術の伝承が急速に途絶えてきており、そのことが管理放棄に伴う森林の荒廃、ひいては災害の激甚化を招くなど、多くの問題を派生させている。植物を「資源」として利用する人間の叡智がその価値とともに次第に忘れ去られつつあり、このことが、自然環境と人間活動(生業・生活文化)との調和を通して維持・形成されてきた地域固有の景観(例えば里地里山)の持続可能性を脅かすと同時に、保全を考慮する上での阻害要因になっていると考えられる。 自然環境の保全を考慮する際には「自然性」が重要視される場合が多い。例えば、植物群落については、人の手が加わっていない自然植生に対して最も高い評価がなされる一方、人為的影響の下で成立した代償植生は低く評価される。しかし、自然環境と人間活動(生業・生活文化)との調和を通して維持・形成されてきた里地里山においては、「自然性」の視点だけでは計り知れない多様な“保全のインセンティブ”が内在しており、既存の手法では適切な評価結果が得られない場合がある。そこで、発表者は、植物社会学的な基礎研究に取り組むなかで、「自然環境の保全のインセンティブとは一体何であるのか?」という問題を前提として、自然環境の基盤を成す植生(植物群落)を対象に「保全のインセンティブに関連する“多様な特性”を表現するための手法開発」に着目してきた。
本発表では、植物群落に備わる多様な特性のうち、とくに、人々の暮らしに役立つ性質(以下、この性質を「資源性」と呼ぶ)を取り上げ、「資源性」の側面から植物群落を評価する試みについて紹介する。日本国内の里地里山を対象とした事例研究では、「食材・薬材・飲料」、「建築材」、「農具・漁具・猟具・民具」など、「資源性」を指標する15項目(以下、「資源特性」と呼ぶ)を設定し、植物種/群落の利用に関わる民間伝承・記載等の収集・分析を行った。この結果、 森林はすべての資源特性を包含した多特性空間であること 「資源特性の多様性」の観点では、「水田の保全」は「森林の保全」と同様の意味があること などが示唆された。
本研究における評価手法をベースに、植物利用の民間伝承に関する情報収集や他地域との比較分析を更に行うことで、植物群落に関する資源特性、地域特性(固有性)をより的確に具現化することが可能になると考えられた。ひいては、そのことが、自然環境保全のインセンティブ形成の役割を果たし得ると考えられた。
第134回研究会
タイ北部山地における伝統的チャ栽培を軸とした生業戦略とその選択要因
佐々木 綾子 氏(京都大学大学院農学研究科)
【日時】2008月2月15日(金)午後4時〜午後6時
※研究所正門周辺工事中のため近衛通に面した北門からお入りください.
【場所】京都大学東南アジア研究所 東南アジア研究所 東棟2階第1教室
- 案内ポスター [PDF:109KB]
【要旨】
タイ北部山地にみられる発酵食用茶「ミアン」の生産を目的とした伝統的な林内チャ樹園、いわゆる「ミアン林」は、原植生に近い多層森林構造を維持できることから、森林と調和的で持続的なアグロフォレストリーと評価されてきた。しかし近年における社会構造変化に伴うミアン林利用の動向と、生業としての経済的評価は十分行われてこなかった。長期的な社会経済分析は、「ミアン林」の持続性評価のみならず、タイ北部森林景観の将来的予測にも貢献が期待される。本論文では、1970年代の調査資料の残るミアン生産村において、過去30年にわたる生業の変容とその要因を明らかにするとともに、生業変容に伴う慣習法による土地利用慣行ならびに個人の資源用益権に関する概念の変遷を分析した。
その結果、1980年代前半には道路などのインフラ整備に伴いミアン生産と労働人口流入の拡大が進行したが、その後は市場の縮小に伴い生産規模、人口ともに減少し、村の経済状況は急速に衰退したことが明らかとなった。しかし2001年から始まったタイの緑茶ブームを契機としてミアンから飲料茶生産への転換がはかられ、村民主導の直接出荷経路の構築がこの転換をさらに加速した。このような生業の変容に伴い、慣習法において個々のチャ樹に限定されていた個人の用益権の範囲は、作物導入の場としての土地自体にまで拡大され、他作物への転換も視野に入れた慣習法変容の可能性が認められた。このようなミアン生産村内部の変化は、今後のタイ北部山地の森林景観の維持にも影響を及ぼす可能性を指摘した。
【日時】2007年12月17日(月)午後1時30分〜午後3時30分
※曜日・時間・場所いずれも変則的ですのでご注意ください.
※研究所正門周辺工事中のため近衛通に面した北門からお入りください.
【場所】京都大学東南アジア研究所 共同棟3階 講義室(C307)
「東南アジアの自然と農業研究会」「東南アジア学会関西例会」合同開催
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■話題提供者1:
森下 明子 氏(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「ボルネオ島における木材伐採業者と政治家の癒着
―インドネシア・中部カリマンタン州とマレーシア・サラワク州の事例―」
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■発表要旨:
近年ボルネオ島では、大規模な木材伐採やプランテーション開発により、森林減少が急速に進んでいる。またインドネシアでは1990年代以降、地元の木材伐採業者による違法伐採の問題が深刻化した。こうした合法・違法な木材伐採、プランテーション開発等により、地元住民の生活空間は侵食され、生態系においても生物多様性の喪失が懸念されるようになった。
しかし今後も森林開発(特にプランテーション開発)はますます盛んになるといわれ、その背景には木材伐採業者と政治家の癒着が深く関係している。
本発表では、森林開発の利権に絡む伐採業者と政治家の癒着について、インドネシア・中部カリマンタン州とマレーシア・サラワク州の事例を報告する。政治制度が異なるカリマンタンとサラワクにおいて、政財の癒着の構造がどのような点で共通し、どのような点で異なるのか。また中央政財界と地方政財界の関係はどのようであるかといった点に注目する。具体的には、中部カリマンタンとサラワクにおいてそれぞれ最も有力な木材実業家である(であった)アブドゥル・ラシッド(中部カリマンタン)とティオン・ヒュー・キン(サラワク)に注目し、彼らがこれまでどのようにして中央・地方政界の有力者たちと関係を築いてきたかを見ていく。
久世 濃子 氏(京都大学大学院理学研究科)
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■話題提供者2:
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■話題:
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「オランウータンの現状と新しい調査地の紹介
〜マレーシア・サバ州を中心に〜」
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■発表要旨:
オランウータンは東南アジアに生息する唯一の大型類人猿であり、ボルネオ島とスマトラ島にのみ生息している。現在、農業開発や森林伐採などによって生息地の破壊が急速にすすんでおり、絶滅の危機に瀕している。最近ではUNEP(国連環境計画)が「オランウータンの生息地の大半が25年後の2032年までになくなる」と警告する報告書を発表している。
本発表ではまず、インドネシアとマレーシアにおけるオランウータンの現状が、地域によって異なっている点に着目して紹介する。特に20年後もオランウータンの生息地が残っている可能性が最も高い、とされているマレーシア・サバ州での保護活動や政策について報告する。
また、我々は原生林に生息する野生オランウータンの長期研究を行うことを目的に、2004年にマレーシア・サバ州のDanum Valley森林保護区内の観光用宿泊施設周辺2km2を新しい野生オランウータンの調査地として設定し、調査を開始した。今までの調査の結果、ここに生息するオランウータンは、他所ではほとんど食物として利用されていないフタバガキ科を高い頻度で利用していることや、生息密度の月変動が大きいこと(0.4 - 8.0頭/km2)など、新たな事実が次々と明らかになってきている。本発表では、映像や写真を交え、オランウータンの現状や原生林における生態について紹介する。
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■日時:
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2007年 4月20日(金)午後3時〜午後6時
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■場所:
今回は「東南アジアの自然と農業研究会」「東南アジア学会関西例会」合同研究会として,インドネシア・マレーシアの森林を舞台に異なる視点から研究を行っておられるお二人に,その成果をご報告いただきます.時間も1時間拡大しての開催です.奮ってご参加ください.
第129回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2007年 2月19日(月)午後4時〜午後6時
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■場所:
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■話題提供者:
米澤 剛 氏(京都大学東南アジア研究所)
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■話題:
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「3次元地質モデリングの実用化と可能性−情報社会における地質情報」
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■発表要旨:
地下の地質情報は我々の生活の基盤を支える空間情報の重要な要素の一つです.環境保護や自然災害防止,地下利用などの問題解決には地質情報が不可欠であり,その必要性は国内だけでなく,とくに東南アジア地域でも年々高まっています.このような社会の要求に答えるためには,関連する諸分野へ地質情報を正確に伝達する必要があり,「3次元地質モデリング」はその有効的な手段の一つであると考えます.地質構造をモデル化するには,データ解析に先立って,地質体(地層)の分布域と境界面の間に成り立つ論理的関係(地質構造の論理モデル)を正確に設定しておく必要があります.3次元地質モデリングは,この地質構造の論理モデルにもとづいて,GISや関連する処理技術を用いて地下の地質分布を3次元的に表現・可視化する一連の作業のことです.本発表では,この3次元地質モデリングの考え方と構築方法を示すとともに,関連する諸分野への導入について提起したいと考えています.
第128回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2006年 12月15日(金)午後4時〜午後6時
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■場所:
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■話題提供者:
田崎 郁子 氏(京都大学大学院農学研究科修士課程修了)
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■話題:
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「北タイ・カレン村落における村人の移動の変化とそれに伴う生業形態の変容」
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■発表要旨:
タイでは1980年代以降、農山村部からバンコクを中心とした都市への人口移動が顕著に見られる。これに関しては、都市に移動する動機・移動した者のアイデンティティーに関する研究や、移動者と村に残った家族とのつながりを主張する研究などが行われてきた。しかしいずれも「移動者」に焦点を当てて移動の意味・その影響を考察しており、人口供給源である農山村において「在村者」−特に山地民と呼ばれる人々−の視点からは考察がなされてこなかった。そこで本報告では、@村人の都市移動の増加に対して村ではどのように生業を対応させてきたのか、Aこれによる生業の変容を村人はどう捉えているか、という点から、村における移動の変化の意味を考察する。
調査村では現在未婚者の半数が都市へ移動しており、村での労働力低下をもたらしているが、それにもかかわらず、焼畑と水田での米生産維持が図られている。そこでまず、米生産維持を可能にしてきた諸要因―世帯員の移動パターンに合わせた除草剤・肥料の田畑への投入、若者から既婚女性へという除草作業の担い手の移行、それに伴う労働交換の変化と若者の役割の変化―や、都市移動経験者による換金作物栽培の活性化について検討する。また、村にいる既婚女性の「私は彼ら(都市への移動者)よりも草取りに長けている」という農作業における有能性を主張する言説や、移動経験を生かし村での新しい自給自足生活を目指す村人の試みを紹介する中で、在村者が移動による生業変容をどう捉えているのか、その一端を示す。以上より、村人の都市移動の増加によって村の生活がただ否応なく変えられていくのではなく、それに村人が巧みに対応していくことを指摘したい。
第127回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2006月10月20日(金)午後4時〜午後6時
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■場所:
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■話題提供者:
渡辺 一生 氏(岐阜大学大学院連合農学研究科)
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■話題:
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「東北タイ天水田集落における70年間の水田開拓過程」
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■発表要旨:
タイ国は、世界でも有数の水稲生産量・輸出量をほこっている。特にタイ東北部は、タイ全土の水田面積の約半数、水稲生産量の約40%を占める水田が、存在している。この地域の水田は、18世紀中頃から森林を開墾し、面積を拡大してきた経緯がある。この結果、現在東北タイの水田被覆率は60%を占める一方、森林被覆率は10数%までに減少している。
本発表では、東北タイの天水田集落における、水田開拓過程を詳細に追う。解析対象としたのは、東北タイ・ドンデーン村とその耕作域を含む約760haである。同村は、詳細な統計情報や地図などが乏しいタイ国において、1960年代前半から、日本人研究者らによって詳細な現地調査情報が蓄えられている。
既存の調査資料と、新たな現地調査結果から70年間、4期に渡る土地利用図を作成し、GISによる空間解析を行った。解析の結果、この地域に特徴的な地形と水田の拡大過程が密接に関係していることや、近年では、水田が他の土地利用へと変化し始めていることなどが明らかとなった。
第126回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2006月6月16日(金)午後4時〜午後6時
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■場所:
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■話題提供者:
綱島 洋之 氏(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「南インド少数民族地域の営農体系における植物資源利用の重要性と可能性」
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■発表要旨:
インド,アーンドラ・プラデシュ州カマン県の少数民族コヤ族地域において,2004年9月から2005年5月,2005年12月から2006年4月にかけて現地調査を実施した。
調査地の一部地域では,10数年ほど前からトウガラシ換金栽培が流行り始め,現在では経済的に最も重要な位置を占めている。収量や販売価格が順当であれば収益性が高い反面,高収量を得るためには外部投入資材を多く必要とする。その高投入性の弊害が,借金苦や農薬被曝という形で表れてきた。この問題を解決するために,地域で入手可能な植物資源を,病害虫防除に活用することはできないだろうかと考えて,植物農薬として有効な植物の探索を開始した。今のところ,数種類の植物資源が主要害虫ハスモンヨトウの防除に有効であることが,室内実験により示唆されている。
調査地内の別地域では,トウガラシの換金栽培は行われておらず,モロコシと水稲を中心とした,従来の自給的色彩の強い低投入型農業が展開されている。現金収入を少ししかもたらさない低投入型農業が継続できているのは,地域の豊富な植物資源により一定の現金収入がもたらされているからである。
本発表では,以上の内容を詳説し,農業生態・社会経済の両側面から考察する。持続可能な農業技術を開発あるいは維持するための方途として,地域の植物資源を活用しようという発想が有効であるかどうかを,議論したいと考えている。
第125回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2006月4月21日(金)午後4時〜午後6時
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■場所:
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■話題提供者:
小笠原 梨江 氏(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「カンボジア稲作村におけるトムノップ灌漑をめぐる協同」
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■発表要旨:
カンボジアの稲作は、毎年メコン川が引き起こす洪水の影響を強く受ける。稲は単作で、大半が天水依存型の雨季作であるが、一方で、とくにメコン川およびトンレサープ湖周辺の一部の地域では、古くから灌漑による乾季作も行われてきた。
発表者は、2003年から2004年にかけて、カンボジア中央部に位置する一稲作村で、乾季稲作のための在来灌漑施設(トムノップ)の利用や管理・運営に関する人びとの活動に焦点を当て、調査を行った。メコン川氾濫原に位置する調査地では、雨季には河川や湖周辺の低地が湛水するという自然の特徴を活かして、住民たちが協力し、灌漑による乾季作を行っている。発表者は、カンボジアの村落における世帯を越えた集団的営為のあり方を探る手がかりとして、このトムノップ灌漑をめぐる協同に着目するものであるが、本発表では、このトムノップ灌漑に関する活動の実態を明らかにすることを目的とする。
第124回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2006年2月24日(金)16:00−18:00
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■話題提供者:
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山口 哲由 氏(京大アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「東南アジア大陸部からチベットにかけての生業構造の変化」
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■発表要旨:
雲南省は,東南アジア大陸部からチベット高原へと繋がる地域であり,この地域は生業形態が専業的な牧畜へと変化していく地域であり,地形的には海岸部から内陸の山地を経て高山帯へと変化する地域である。これらの地域における生業の変化をどのように理解できるのかを,発表者がこれまで調査をおこなってきた雲南省シャングリラ県の事例に基づいて検討していきたい。
発表では,農耕地域である元陽県(ハニ)や麗江県(ナシ)から,半農半牧地域である徳欽県(チベット)や四川省馬爾康県(チャン),専業的な牧畜地域である理塘県(チベット)などといったさまざまな形態でおこなわれている生業やそれらの地域における生態環境もスライドをまじえて紹介します。
第123回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2005年12月16日(金)16:00−18:00
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■話題提供者:
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小泉 都 氏(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「ボルネオのプナン・ブナルイの民族植物学:狩猟採集民にとっての森林」
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■発表要旨:
ボルネオの熱帯雨林ではたくさんの植物種がみられる。多様な植物を現地の人々がどのように理解し、また利用しているのかに興味をもって私は研究を行ってきた。プナン・ブナルイは、かつては森林で暮らす狩猟採集民だったが、1960年代頃から定住化して農耕をはじめている。2002年から2004年にかけて彼らの民族植物学知識を調査した。その結果、彼らが植物を広く知っていることが分かった。発表では知識の性質を詳しく紹介する。ところで、先行研究で報告されているボルネオの農耕民の有用植物についての知識と比較すると、プナン・ブナルイの知識がいぜん農耕民とは異なった性格を保っていることも分かった。同じ地域でも文化によって自然の知識・利用が異なることを示したい。
第122回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2005年10月19日16:00−18:00
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※開催の週と曜日が通常と異なりますのでご注意ください.
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■場所:
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共同棟4階セミナー室(409)(地図)
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■話題提供者:
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香西直子氏(愛媛大学大学院連合農学研究科)
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■話題:
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「タイ北部における温帯果樹栽培」
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■発表要旨:
タイ北部の山岳地帯では,非合法的に行われてきたケシ栽培に代わる換金作物として温帯果樹栽培が期待されており,海外で育成された品種を中心に導入がすすめられている.中でもモモは,古くから加工用品種を栽培してきた経験があることから,付加価値の高い生食用品種の栽培が期待されている.しかしながら,低温遭遇量の不足や過度の高温などの気象条件により十分な収量は得られていない.今回の発表では,2001年10月から2002年2月および2003年11月から2004年1月にかけて,タイ王国チェンマイでおこなったモモの結実性に関する調査を基に,気象要因や技術的な問題について,他の温帯果樹類の事例も含めて述べる.また,モモをはじめとした温帯果樹について,国内市場での位置づけや社会的背景についても紹介する.
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■日時:
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2005年6月24日16:00−18:00
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※開催の週と曜日が通常と異なりますのでご注意ください.
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■場所:
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京都大学東南アジア研究所東棟2階第1教室 (地図)
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■話題提供者:
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小坂康之氏(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
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■話題:
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「ラオス中部の丘陵地における土地利用と住民生業」
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■発表要旨:
最近、人々の居住地に隣接する身近な自然への関心が高まる中で、自然環境利用に関する在来知識が再評価されている。
本発表では、ラオス中部の丘陵地における人々の資源利用を、スライドをまじえて紹介する。同地方では、丘陵上の地形に応じて林地、焼畑耕作地、草地、水田、屋敷地など、複数の土地利用タイプがモザイク状に分布している。そしてそれぞれの土地利用タイプにおいて、栽培植物だけでなく、野生動植物が日常的に採集されている。この調査事例について、@在来知識は柔軟に変化するという視点、A異なる地理スケールで分析する視点、B異なる地域との比較の視点、の3つの視点から考察する。
第120回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2005年4月22日(金) 16:00〜18:00
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■場所:
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京都大学東南アジア研究所東棟2階第1教室 (地図)
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■話題提供者:
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山尾 政博 氏(広島大学大学院 生物圏科学研究科)
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■話題:
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「東南アジアの水産業開発と沿岸域資源管理
―「責任ある漁業」の実現に向けて」
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■発表要旨:
東南アジアでは海面漁獲漁業と養殖業がめざましい成長を遂げてきた。また,輸出志向型の水産食品製造業の立地が進んで,世界有数の水産加工基地になっている。だが,海面漁獲生産量の約70%を占める沿岸漁業では,資源略奪的な漁獲行為と過剰な漁獲努力によって資源の減少・枯渇が深刻化している。沿岸漁業地域の貧困化率は,農業地域のそれに比べて高く,地域によっては,貧困の悪循環と資源の減少・枯渇が同時的に進行している。漁業地域社会の安定した発展のためには,持続的な資源利用と適正な資源分配が必要である。
国際連合食糧農業機関(FAO)が提唱した「責任ある漁業のための行動綱領(Code of Conducts for Responsible Fisheries)」は,持続的な資源利用を実現させる制度の充実,特に,資源の減少・枯渇を防ぐための予防的措置の導入を求めている。「責任ある漁業」をいかに実現するか,東南アジアでも地域版の行動動綱領作りが進められている。また,“Community-Based Fisheries Management”(CBFM)などに代表されるような,地方分権型・住民参加型の沿岸域資源管理方式の導入が各国でなされている。CBFMプロジェクトの経験を踏まえ,資源の利用と管理をめぐって,関係者間の責任分担関係のあり方をモデル化・政策化しようという動きが活発になっている。沿岸域資源の利用をめぐって,「共有の悲劇」的状況ばかりではない,「共有のドラマ」が生まれている。本報告では,東南アジアの水産業開発,特に沿岸漁業の構造的な特徴を明らかにしながら,沿岸域資源の利用と管理をめぐる最近の動きを紹介し,今後の方向性について検討してみたい。
キーワード:責任ある漁業,輸出志向型水産業,沿岸漁業,CBFM, 共有のドラマ
<119回定例研究会>
第119回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2005年2月16日(水) 16:00〜18:00
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※開催の週と曜日が通常と異なりますのでご注意ください.
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■場所:
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京都大学東南アジア研究所東棟2階第1教室 (地図)
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■話題提供者:
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大西 秀之 氏 (総合地球環境学研究所)
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■話題:
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「メコン河流域における生物資源の利用と市場経済の影響」
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■発表要旨:
本発表では、北タイ・イン川流域とラオス・サバナケット州で実施した調査データをもとに、メコン河流域における生物資源の利用の多様なあり方の一端を御報告いたします。とくに、河川における漁業活動や竹などの森林資源の利用といった、同地域の人々が日常的に営んでいる生活実践を通して、生物資源の利用に関わる様々な「慣行」や「制度」などを検討するとともに、市場経済との接合に伴う開発や近代化などの影響についても考察を加える予定です。また、こうした事例報告と併せて、本発表では、生物資源が再生産される「場」の生態環境を考慮に入れつつ、自然に働きかけ資源を利用−管理してきた人々の社会的実践と生態環境とのインタラクションを、「コモンズ論」という枠組みのなかに位置づけた研究プランを提起させて頂きたいと考えております。
<118回定例研究会>
第118回定例研究会開催のお知らせ
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■日時:
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2004年12月10日(金) 16:00〜18:00
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※開催の週が通常と異なりますのでご注意ください.
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■場所:
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京都大学東南アジア研究所東棟2階第1教室 (地図)
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■話題提供者:
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田中 壮太 氏 (高知大学大学院 黒潮圏海洋科学研究科)
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■話題:
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「マレーシア・サラワク州における実験焼畑」
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■発表要旨:
焼畑の火入れ・耕作が土壌生態系に及ぼす影響を定量的に評価することを目的に,サラワク州の4試験地において実験焼畑を行った.バライリンギン,サバール,ニア試験地では,100,200,300 t/haの焼却処理区を,バカム試験地では20,100 t/haの焼却区を設け,陸稲を栽培した.細・中粒質土壌では,灰の土壌酸性緩和・施肥効果は,火入れ前の土壌pHが高ければ少なくとも陸稲収穫時まで持続した(ニア)が,pHが低ければ収穫時には低下した(バライリンギン).また,前者の場合であっても,可給態窒素の消耗が激しかった.焼却バイオマス量を増加させても,陸稲収量はあまり増加しなかった.砂質土壌(サバール,バカム)では,火入れ後1〜3ヶ月で灰の効果は見られなくなった.陸稲収量は低かった.持続的とされる伝統型焼畑であっても,極めて脆弱な養分動態の上に成立していることが示唆された.
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